人を育てることの重要性 ー蘭とたんぽぽ、最先端遺伝学から学ぶー

皆さんこんにちは。

もうすぐ生後6ヶ月にはる娘を膝に乗せながらこの記事を書いています。

 

育児を始めると、自分の思い通りにならないことが増えて、ついイライラしてしまう自分に反省する日々を送っていますが、今日はまだ独身時代のある女性との短い会話から始めましょう。

 

本記事の内容は、部下や後輩を育てる立場にある人だけではなく、父親や母親として育児をされている方にもぜひ読んでもらいたい内容ですので、長文になりますがお付き合いよろしくお願いいたします。

 

 

ある女性との会話

 

私「将来どんな人と結婚したい?」

 

友「ん〜、良い遺伝子を持ってる人かな〜?」

 

私「お、おう…。見つかるといいな笑」

 

?????

 

良い遺伝子とは一体なんぞや!?

当時大学生だった私には、看護師であった彼女が言った意味にピンと来ませんでしたが、ある本を読んで彼女がどういう意味で発言したのか、また私は本を読んで自分はどうしたいかを考えるようになりましたので紹介します。

 

その本は、「残酷すぎる成功法則」です。

残酷すぎる成功法則 文庫版 | エリック・バーカー, 橘 玲, 竹中 てる実 |本 | 通販 | Amazon

 

その中にある、蘭とタンポポと「有望な怪物」という章から引用します。

※(本記事では「有望な怪物」については割愛して引用します)

 

それでは、頑張って短くまとめましたので(それでも文字数多い)読み進めて、人を育てることについて考えてみてください。

 

 

蘭とタンポポと「有望な怪物」 

ここでちょっと、蘭とタンポポと「有望な怪物」の話をしよう(そんな話はちっとも珍しくないと思うかもしれないが、しばしおつき合いいただきたい)。  

スウェーデンでは古くから、「大半の子どもはタンポポだが、少数の子は蘭である」と言い伝えられてきた。タンポポはたくましい。それほど綺麗な花ではないが、どんな環境でもよく繁殖するので、わざわざ手間暇かけて育てようとする者はいない。一方、蘭はきちんと管理してやらなければ枯れてしまうが、丁寧に世話をすればそれは見事な花が咲く。  よくできたたとえ話だと思っただろうか? 

 

でもそれだけではなく、この言い伝えを最先端遺伝学から検証してみよう。  

 

ニュースでよく聞くのは、遺伝子が原因でああなる、こうなるという話だ。それで私たちはすぐに、「良い遺伝子」「悪い遺伝子」とレッテルを貼る。・・・悪い遺伝子を持つ者が何か問題に遭遇すると、うつ病や不安神経症などの精神疾患を発症しやすいという。だが一つ問題がある。この説が間違っている可能性がじょじょに強まってきたのだ。  

遺伝学の最近研究では、「良い遺伝子」対「悪い遺伝子」というモデルが覆され、・・・問題があるとされる遺伝子が、状況さえ異なれば素晴らしい遺伝子になりうるという考え方だ。一本のナイフで人も刺せれば、家族の食事も作れる。それと同じで、遺伝子の良し悪しも状況次第で変わるという考え方だ。  

 

もっと具体的に話そう。たとえば大多数の人は、正常なドーパミン受容体遺伝子DRD4を持つが、一部の人は突然変異種のDRD4‐7Rを持つ。これは、ADHDアルコール依存症、暴力性と関連がある悪い遺伝子とされている。  

 

しかし、社会心理学の研究者のアリエル・クナフォが子どもを対象に行った実験では、別の可能性が示された。クナフォは、どちらの遺伝子の子どもが、自分から進んでほかの子とキャンディを分け合うかを調査した。通常三歳児は、必要に迫られなければお菓子を諦めたりしない。ところが、キャンディを分け与える傾向がより強かったのは、なんと7R遺伝子を持つ子たちだったのだ。 

「悪い遺伝子」を持つ子どもたちは、頼まれもしないのに、なぜほかの子にキャンディをあげたいと思ったのだろうか?  

 

なぜなら7Rは、「悪い遺伝子」ではないからだ。

 

ナイフと同様に、7Rの良し悪しは状況次第で決まる。7Rを持つ子が虐待や育児放棄など、過酷な環境で育つとアルコール依存症やいじめっ子になる。しかし良い環境で育った7R遺伝子の子たちは、通常のDRD4遺伝子を持つ子たち以上に親切になる。つまり同一の遺伝子が、状況次第でその特性を変えるというわけだ。  

 

行動に関連するほかの遺伝子の多くにも同様の結果が見られた。ある種のCHRM2遺伝子を持つ十代の子が、粗悪な環境で育つと非行に走りやすい。同じ遺伝子を持つ十代でも、良い環境で育てばトップになる。5‐HTTLPRという変異体遺伝子を持つ子が支配的な親に育てられるとズルをしやすいが、優しい親に育てられると規則に従順な子になる。記号だらけのミクロレベルの話はこれくらいにしよう。

 

大半の人はタンポポだ。どんな状況に置かれても、だいたい正常に開花する。しかし一部の人は蘭で、悪い結果のみならず、すべてのことに対して繊細で傷つきやすい遺伝子を持つ。タンポポが生えているような道端では花を咲かせられない。しかし温室で手入れが行き届けば、タンポポなど足元にも及ばないほど美しい花を咲かせる。

 

劣悪な環境で育てば、蘭の子どもたちはうつ病患者や薬物中毒者、あるいは犯罪者になるかもしれない。だが適正な環境で育てられれば、最も創造性に富んだ、「幸せな成功者になる」のだ。

 

 

日本における「教育の問題点」

上記の内容を読んであなたは何を感じましたか?

私の友人である看護師が、「良い遺伝子」を持つ男性と結婚したいという意味もなんとなく分かりました。

 

友人曰く、親がADHDなどの発達障害を持っている場合、子供も発達障害を発症する可能性が高いからだそうです。そのため、日本ではADHDの診断がされていないだけで、潜在的ADHDの人はいるし、今後増えるだろうと考えていました。

 

しかし、引用文からわかる通り、ADHDの子供は、愛情を込めて忍耐強く寛容に接して育児をすることで、他の子ができないような優しさを他人に示すことができることが分かりました。

 

ところで日本では、「他の人と違う」ことは「悪」であると教え込まれた人も多いのでは無いでしょうか?

 

まさしく、「出る杭は打たれる」です。

 

そのため日本全体において、個性を伸ばし尊重することが他の先進国と比べても遅いことが指摘されている原因で、昔よりは個性が認められる時代になったとはいえ、そんな日本で生き辛さを感じている人もまだまだ多いのではないでしょうか。

 

 

あなたはどうですか?

それではあなた自身はどうでしょうか?

あなたが教育者であるならば、自分が育てている人を勝手に「たんぽぽ」だと決めつけていませんか?

あなたが教育を受ける立場なら、自分はたんぽぽのように扱ってほしいのか、蘭のように扱ってほしいのかどちらでしょうか?

 

引用文でも指摘されている通り、蘭はたんぽぽと同じ環境では綺麗な花を咲かせることはできません。

 

その代わり、咲くまでは時間もお金もかかるかもしれませんが、丹精込めて蘭を育てるように子供や部下を育てようとするならば、あなたが育てた人は、他の人が成し遂げないことをするでしょうし、その人自身がとても生きやすい環境を提供できるでしょう。

 

たんぽぽのような人材はどこでも手に入れることができますが、蘭のような人材は市場において非常に価値が高い存在です。

 

ましてや、蘭のような人材は、この生き辛い日本で生活してきましたので、あなたの会社がそのような方を受け入れて、彼らが働きやすい環境を整え、定期的に悩みを聞くことができれば、そのような居心地の良い会社から転職することは考えにくいでしょう。

 

人材不足を解消する簡単な方法は、人材育成をすることでしか解消できないからです。

 

全員をたんぽぽのように扱う昭和の考え方が令和現在まだ残っていることを非常に残念に思いますし、あなたが本当は「蘭」のように育てられたなら輝くことができたかもしれない方もおられるに違いありません。

 

この記事を読まれた方は、これからどのように人に接するかを選ぶことができます。

 

・教育者の場合

もし蘭のような人材をたんぽぽのように扱っていたなら、今から変えることができます。大きな変化である必要はありません。

ただ、彼らのことを気にかけて、悩みを聞き、どこをどうすればもっと働きやすくなるのかを知ろうとすることです。

 

そのような会話をするだけです。

 

そのような小さな簡単なことされできない教育者であるなら、人を傷つけるだけですので、その責任から離れる方が良いでしょう。

 

・教育を受けている場合

もしあなたが既に社会にでていて、かつ蘭のような人材で、大切に育てられれば本領を発揮できると感じているのでしたら、今の場所でそれが叶わない場合、環境を変えることを検討しても良いかもしれません。

 

今は恵まれてお金を払えば懇切丁寧に教えてくれるサービスは沢山ありますし、金銭面で難しいのであれば、ハローワークから職業訓練校に行くことも一つの選択肢です。

 

 

最後に

以前別の記事で、「自責」と「他責」についての記事を書きましたが、遺伝子レベルで「自責思考」だけではどうにもならない人が一定数いるということは、記憶に留めておかなくてはなりません。

 

changeyourjob.hatenablog.com

 

 

どうか、親や上司も含めた全ての教育者が、今後子供や部下に対してどのように接するのかを考える機会となれば幸いです。

 

それではまた次回の記事でお会いしましょう!